天気にはかなわないよ

土曜日、終日雨の予報。

今日と明日の2日間行われる大きなイベントの初日、雨に濡れる屋台のテントや大きな看板。
ずらっと並んだ屋台に比べて、お客さんは数えるほど。

「天気にはかなわないよ」

屋台の同業者と思われる人から声をかけられ、その屋台のご主人が準備の手も止めず、笑いながらも大きな声で返した言葉だった。

自分も楽しみにしていた。
何組ものライブパフォーマンスや催しなど、大人も子供も楽しめる、スタジアム全体を使ってのイベントだった。
いろいろな屋台やキッチンカーも出ている。

でも、こんな雨ではほとんどの出し物は中止になっている。

そんな中、腐らずに明るく言っていた言葉が離れない。

晴れていれば結構な人出になる。大きな収入も期待できるはずではないのだろうか。
まったくの見込み違いになってしまったのに、なぜそんなに潔いのか?

自分がご主人の側だったら、ちょっと恨みがましいことくらい言いたくなる。
世の中には、どうしても自分の力とか人間ではどうしようもないことはある。

そんなことはたくさん経験してきたし、よく知ってる。

楽しみだった遠足が流れた朝。
運動会中止を知らせる、花火の上がらない朝6時。
中止になったグループでのサイクルキャンプと、払ったキャンセル料。

そこには、それでもなんとかしたい、次善の策はないのかという気持ちをいだいたことも多々あったように思う。

屋台の主人のようにすがすがしくはできなかった。

きっとこのご主人は、自分が経験した以上に、雨や天候で痛い目にあってきたのだろう。
だから、あんなに強いのかもしれない。

季節はすでに秋。

たとえ今回の売上が少なかったとしても、このご主人ならまわりの人まで明るくする、太陽のような人生を過ごせるはずという気がした。

自分も今度、予定が雨で流れたら、心の中で愚痴る前に、一度声に出して言ってみよう。
「天気にはかなわないな」と。